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4. 里地の風景づくり -持続可能性へのアプローチ

里地は土地の人々が拓き、築き、維持してきた造成地形です。人力や家畜による造成ゆえに、元々の地形の改変が少なく、むしろそれを生かし、曲線や斜面が多く、柔らかでぬくもりがあります。棚田を構成する土手などは農民芸術を感じさせます。原風景の基盤であり、地域遺産と言ってよいと思います。

しかし、今里地は農山村の退廃を象徴するかのごとくに雑草に覆われ、その魅力は埋もれた状態です。

雑草を減退させ、地域遺産とも言える里地の造成地形を浮かび上がらせることが、風景づくりにおける主要なテーマです。管理の手不足・高齢化の現状から、効果的・効率的・省力的な方法が求められ、以下のような考え方に基づき取り組んでいます。

一.風景づくりは人目の集まる場所、人通りの多い場所から優先的に取り組みます。大勢の人が目に触れる足元・目先であり、効果が大きく、作業の効率化につながります。

 具体的な対象は集落内、公共の場周辺、歩行者の多い道路沿いなどです。また土手や山裾など、見る側に向いた斜面は目に付きやすいことから、上記から離れていても目立つものは優先対象になります。

二.雑草が繁茂する耕作放棄地は特に負担の大きな対象です。その風景づくり(主に雑草対策)は上記一に則り、人目・人通りの多い場所近傍から優先して取り組みます。遠方に離れたところは、刈り取り頻度が少なくてすむチガヤ・ススキなどの草原をめざすことも選択肢です。

三.人目・人通りの多い場所は、風景の演出効果の高い場所でもあります。観賞性のある草木の植栽・育成なども合わせて取り組みます。草花は在郷野草(在郷の在来野草)を生かすことにより経済的に果たすことが可能です。

 初期の手間がかかりますが、数年後の省力化をめざし、観賞性と雑草抑制効果のある地被植物を導入することも選択肢です。

四.管理の手不足・高齢化の特に著しいところでは、土地所有の垣根を取り払い、地域共同で風景づくりに取り組むことも一案かと思います。

  

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