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特有の生物多様性と住民との関係
里地・里川・里山は特有の生物多様性を育んでいると言われます。しかしそれは農業に携わる人にとって、鳥獣害という切実な問題と表裏一体です。耕作放棄地が増えたとはいえ、自給用の農耕は続けられており、害鳥獣は嫌忌されます。
しかも人口減少や管理放棄地の増大に伴いイノシシ等は人の生活域にまで入り込み、さらにアライグマ(特定外来生物)やハクビシン(生態系被害防止外来種)等の外来種も加わり、人の生活を脅かしています。
一方、美しいさえずりや体色の野鳥たちは耳や目を楽しませてくれ、農山村に季節を告げ、農山村の生活に欠くことのできない存在です。
里川もかつては豊富な魚たちやホタルの光の舞いが見られましたが、今は画一的なコンクリート護岸に改修され、魚類は貧弱、ホタルは姿を消してしまいました。
野生動物との共存の風景づくり
風景づくりで農山村に立ち入ること、特に耕作放棄地や放置竹林における保全活動は、害獣を遠退け、人とのすみ分けをめざす害獣対策につながります。
現場の作業である風景づくりは、野生動物の姿を間近に見る機会を与えてくれます。動物種それぞれの特徴、その場その環境での行動などを知ることができます。それらの知見をその場の風景づくりに反映するようにしています。
画一的なコンクリート護岸の川の場合、川そのものの環境改善は難しいことから、川沿いの土地での取り組みが一層必要であり、河畔林の再生等に取り組んでいます。