里地内道路に沿って農地が連なっており、その大部分が耕作放棄地です。耕作放棄地において草刈り作業を行いつつ鑑賞性や雑草抑制効果のある在郷野草を探り、可能性のあるものを里地内道路沿いに移植するなどしています。
(1)ヨメナ類
生態系被害防止外来種セイタカアワダチソウ群落内のあちらこちらにポケット状に空いたところがあるので近づいてみると、ヨメナ類が小群落を築いていました。
ヨメナ類はノギクの一種(在来種)、花は白~淡紫色(花期8~11月)で、群落が花を付けるとボリューム感があります。
ノギクもセイタカアワダチソウも同じアレロパシー(*)物質を放出して自陣を堅持しているのだそうです。
既に道路沿いにあるものは保持し、離れてあるものは道路沿いに移植しました。
*アレロパシー(他感作用):一つに植物が放出する化学物質が他の植物の育成を阻害する作用。
[施工・管理・生育状況]
▶ 道路沿いにありそのまま生かしているものは密度を増し、侵入・発生してくる雑草も徐々に減少しつつあります。 ▶ 移植した株周辺にはヨモギ、スギナ、メヒシバ等が侵入・発生してくることから、これらの抜き取りを行いました。 ▶ ヨメナ類は成長すると茎が傾倒しやすく、その際には周りの草刈りが厄介なものになります。それを改善すべく、初夏の頃は他の雑草と一緒に刈り込んで伸びを抑制するようにしています。秋の花付きに問題はなさそうです。 ▶ 密生した群落になると雑草の侵入・発生は少なくなり、ある程度の雑草抑制効果が見受けられます。
白花のヨメナ類と赤花のイヌタデ。ヨメナ類は密生した群落になる と雑草抑制効果が見られます。
(2)ヤマハッカ
耕作放棄地奥の土手際に在来種ヤマハッカが生育しています。秋に青紫色の花を穂状に付け(花期9~10月)、その立ち姿はいかにも山野草のイメージです。
彩りのポイントとして数株を道路沿いに移植しました。
[施工・管理・生育状況]
▶ 彩りのポイントとして耕作放棄地内の角部に移植しました。 ▶ 種子を採集して春蒔きし、種子繁殖も行っています。
淡いベール状のヨメナ類の白とイヌタデの赤を背景として、ヤマ ハッカの青紫の花が引き立ち、メリハリの効いた秋の風景が現れ ました。左手前から太古からの風景、史前からの風景(イヌタデ)、 近代からの風景(セイタカアワダチソウ、右側の黄花)の序列でも あります。
(3)イヌタデ
イヌタデは史前帰化植物で別名アカマンマ、穂状の赤花(花と実を包む花被、時期8~10月)を付け、遠目では淡い赤色のベールのようです。一年生で種子繁殖します。
茎の下部は地を這い、節から強く根を張り、ヒメイワダレソウ植栽地ではこれを駆逐するかの勢いであることから、雑草抑制効果があるのではないかと思い利用してみることにしました。
[施工・管理・生育状況]
▶ 秋に種子を採集し、倉庫内で紙袋に入れて一冬保管しました。 ▶ 翌年の初夏に、植木周辺の根締めをイメージし、密に播種しました。発芽率は高いです。 ▶ 成長段階では雑草が発生・侵入してきますので、それらの抜き取りを行いました。 ▶ 盛夏には繁茂状態となり、雑草抑制効果が見受けられました。 ▶ 落下種子により翌年も発芽してきましたが、密度が低く、播種を加えました。
イヌタデによる植木の根締め。密に播種することにより、盛夏に密 生状態となり、雑草抑制効果が得られます。