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(2)野鳥たちとの共存の風景づくり

かつての郷土は農業が盛んに行われており、食害を起こす里の野鳥は大いに忌避され、その防除対策に苦慮していました。今は自給用の畑作が小規模に行われている程度で、防除の対象はもっぱらイノシシに代わりつつあるようです。

一方、ウグイスやホトトギスなどは季節を告げる歌を奏で、昔も今も農山村の生活を豊かにしてくれています。

1)風景づくりと野鳥との接点

風景づくりの作業をしていると、野鳥たちが間近に飛来してはお得意のパフォーマンスを見せてくれます。

樹木の剪定をしているとシジュウカラが賑やかに交信しながら集団で移動していきます。梢にとまったジョウビタキの雌はまるで鳥型のお菓子のようです。土を掘り起こしていると傍らにセキレイが来て尾を振って囃し立てます。電線の定位置ではモズが辺りを伺い、上空ではトビがぐるりと輪を描きます。農山村は野鳥たちのパフォーマンスに満ちています。

時にはメジロの雛(ひな)がヘビに襲われる場面に遭遇します。捕食・被食の関係、生態系の一端を垣間見る思いです。

風景づくりに勤しんでいると、野鳥たちは癒し励ましてくれるとともに、生態や生態系を知る門戸を開いて見せてくれます。野鳥たちの声は貴重な現場の声であり、耳を傾け、風景づくりに反映するようにしています。

  野鳥のイメージ写真 上段左から順にシジュウカラ、ジョウビタキ(雌)、ハクセキレイ、
  モズ、トビ。

  

2)住民と野鳥の共有の竹藪

幹線道路と小川に挟まれてホテイチクの竹藪(やぶ)があります。ホテイチクは外来種であり、放置することなく適切に利用・管理されることが望まれます。

この竹藪はウグイスのさえずりの指定席であり、春から夏まで美声を奏でてくれます。他の野鳥にとってもこの竹藪はさえずりの好適地とみえ、沢山の野鳥たちが集まってきては合唱します。

住民にとっては、そのまっすぐな性状や適度な大きさから、盆飾りや各種用材として重宝しています。また隣接する道路コンクリート擁壁を隠ぺいして風景を修繕してくれています。

住民と野鳥に共通の有用性として、道路交通からの騒音や排気ガスの拡散を減衰する緩衝帯としての働きをあげることができるでしょう。

この竹藪は住民と野鳥の両者にとっての有用資源であり、その保全・管理は両者共存の風景づくりと言えるでしょう。

人にとっては一見不要の雑草地や藪が、野鳥の生息環境にとって重要な場所であると分かると、その見え方も違ってきます。野鳥との共存の風景は野趣的となる場合がありますが、もはや鬱陶しい野趣ではありません。

  鬱蒼とした竹藪、しかし住民と野鳥の共通の有用竹林 →共存の風景、
  そう気付くと風景は充実してきます。右はウグイスのイメージ写真

  


  

のどかな風景を引き裂く特定外来生物ガビチョウ

合唱団の一員にやたら声高で騒々しいヤツがいます。見覚え、聞き覚えのないヤツです。法律による規制・防除の対象である特定外来生物ガビチョウでした。上空では猛禽類のトビが舞ってはいますが、こと鳴き声に関してはガビチョウが制空権を取っている感があります。のどかな風景に亀裂が走ります。

    ガビチョウのイメージ写真

  

3)カルガモ一家の訴え

ここを棲みかとするカルガモ一家がいます。住民の皆さんも里川にカルガモの姿を見るのを楽しみにしています。

ある道路脇の草むらで草払機を使って草刈りしていた時のことです。突然近くで鳴き声が聞こえたかと思うと、一羽のカルガモが飛び立っていきました。そこで営巣していたのです。自動車が行き交う道路のすぐ脇で命をつないでいたのです。それ以来カルガモの親は巣には戻ってきませんでした。カルガモにも地域の皆さんにも申し訳ないことをしてしまいました。

しかし、翌年にはどこかに適地を見つけたとみえ、ヒナ達を引き連れて元気な姿を披露してくれました。ほっとしています。それ以来、私の風景を見る目にカルガモの行動が加わりました。

    カルガモのイメージ写真

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