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6-4. 里山の風景づくり -林縁の修景

*修景:風景を整えること

ここは落葉広葉樹林が主体の里山で、山裾に沿って鉄道が走っています。

鬱陶しい林縁の藪

鉄道用地内の山裾斜面は鉄道事業者による管理がなされ、草木の伐採が行われています。その上方は落葉広葉樹林が覆い、林縁(りんえん、林の周縁部)には林縁植物群落の低木・ツル植物(⇒)およびタケ類・ササ類が藪(やぶ)を形成しており、鉄道の車窓および隣接集落からの眺望を鬱陶しくしています。

林縁に草木による彩りを創出

鉄道の車窓および隣接集落からの眺望を考慮し、林縁の藪の伐採を行いつつ、草木による彩りの創出に取り組みました。

[ 実 践 ]

▶ この山の頂にはK氏の砦(猪垣を兼ねた木柵の囲い)があります。K氏は都市部から来られているボランティアの方で、この地区の山林の手入れや草刈りなどの依頼に応えられています。この山の風景としての大切さを話したところ、早速林縁の藪の伐採を行って頂きました。

▶ 私もそれに続き、鉄道車窓および隣接集落から見える位置に花木のサクラ類、ネムノキ、フジ類、紅葉木のメグスリノキを植えました。

境木は里山林の重鎮

▶ 竹藪に囲まれて存在感を失っていたのは境木のケヤキです。幹上部をカットされて高さはそれほどありませんが、幹の直径は1メートル程ある立派なケヤキです。周囲の竹藪を伐採すると、その雄姿が現れました。

定期的に伐採・利用されてきた里山林において、境木は年輪を重ねてひときわ太く高く抜き出ていることが多く、言わば里山林の重鎮です。鉄道の車窓風景にメリハリを付けてくれます。

藪の中に咲く花

この山腹は急斜面で伐採作業は大変ですが、山は藪の中に感動的な出会いを用意してくれていました。

ヤマユリ

一つはヤマユリです。鬱蒼とした藪の中で豪華な白い花を開き、甘い香りを振りまいてくれました。

ヤブツバキ

もう一つはヤブツバキです。まだ小さい株ですが群落を形成しつつあり、周囲を下刈りし、乱れた枝を剪定してやると、冬には赤い花を付けてくれました。ヤブツバキはこの地方の自然植生であり、常緑広葉樹林を代表する植物です。生長し、群落を広げ、林縁の藪を減退してくれることを期待しています。

  手前から植樹したネムノキ、サクラ、境木のケヤキ。ケヤキの周囲
    にヤブツバキの小群落があります。
  この地域のスーパーボランティアK氏はこの急斜面の藪を僅か数日
  で刈り上げました。私も後に続くとヤマユリやヤブツバキが花で応
  じてくれました。
  「初めてツバキの花を見た」と麓の住民の方の弾む声、早々に風景
  づくりの第一段階達成です。第二段階は植樹したサクラやネムノキ
  が花を咲かせ、風景を飾ることです。
  鬱蒼とした藪の中から現れたヤマユリ。
  ヤブツバキ(写真左)、ネムノキ(同右)のイメージ写真。

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