
里地は土地の人々が拓き、築き、維持してきた造成地形です。人力や家畜による造成ゆえに、元々の地形の改変が少なく、むしろそれを生かし、曲線や斜面が多く、柔らかでぬくもりがあります。棚田を構成する土手などは農民芸術を感じさせます。原風景の基盤であり、地域遺産と言ってよいと思います。
しかし、今里地は農山村の退廃を象徴するかのごとくに雑草に覆われ、その魅力は埋もれた状態です。
雑草を減退させ、地域遺産とも言える里地の造成地形を浮かび上がらせることが、風景づくりにおける主要なテーマです。管理の手不足・高齢化の現状から、効果的・効率的・省力的な方法が求められます。
● 風景づくりは人目の集まる場所、人通りの多い場所から優先的に取り組んでいます。効果が大きく、作業の効率化・省力化につながります。
● 人通りの多い道路沿いで雑草の繁茂する耕作放棄地は主要な対象です。耕作放棄地における最も好ましい風景づくりは農作物の栽培です。この風景づくり(雑草対策)は、植生遷移が進み大型雑草に加え木本類やタケ類が侵入しつつある状況において、更なる遷移の進行をくい止め、農作物栽培の再開を導きやすくするための維持管理作業になります。
● 風景を彩る草木の植栽・育成なども合わせて取り組んでいます。草花は在郷野草(在郷の在来野草)を生かすことにより経済的に果たすことができます。