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6-3. 里山の風景づくり -常緑樹を生かした林縁の藪の減退

 ここは里の霊山と想定した山の南西向き山腹で、山麓に墓地がひな壇状に造られています。

鬱陶しい林縁の藪

山腹の山林は主に常緑広葉樹ですが、墓地のすぐ背後に山林が欠如し、低木やツル植物が藪(やぶ)を形成しているエリアがあります。林縁(りんえん)を覆う特有の藪(林縁植物群落)で、タケ類・ササ類も加わり鬱陶しいばかりです。墓守の皆さんの労により伐採が行われていますが、急斜面でもあり伐採作業は困難の極みです。

林縁の藪を駆逐しつつあるカシ

林縁の藪を構成する植物は陽光を受けて繁茂する植物で、常緑広葉樹の樹陰では繁茂することができません。自然のなりゆきにおいて林縁の藪は徐々に常緑広葉樹に押し退けられ、前方へと移動していきます(遷移)。しかし、ここは墓地により前方がふさがれています。既に墓地間際まで常緑広葉樹に覆われ、藪が消滅しているエリアもあります。

ここの常緑広葉樹は主にアラカシです。ここは南西向きの急斜面で、土壌も浅く、乾燥が激しいところですが、アラカシはこうした厳しい環境下でも生育できるようです。カシ類はこの地方の自然植生(極相)であり、安定して持続する植物です。

林縁の藪が広がるエリアを見ると、そこにもアラカシは発生してきていますが、枝が切り落とされ、樹陰の形成が阻止されている状況です。結局ここの藪は人為的に存続させてきたと言えそうです。

  

カシを生かした林縁の藪の減退

アラカシを生かして樹陰を形成すれば、見るからに鬱陶しい林縁の藪を減退させることができるはずです。自然の力を借り、自然のなりゆき(遷移)にゆだねる省力的管理方法です。墓地の趣きを醸し出す風景づくりにもなると考えました。

 

▶ 先ずは林縁の低木やツル植物およびタケ類・ササ類の伐採を行いました。

▶ アラカシの切株からは萌芽が盛んです。主だった幹を残し、墓地に向かって伸びる幹や枝は支障を来たさないように剪定を行いました。

▶ アラカシの生長は速く、既に樹冠を形成しつつあるものもあり、樹陰ではツル植物や低木類の成長は鈍化しつつあります。

  〇部が林縁の藪、その上方・右方はアラカシに覆われている部分。
  中程にあるアラカシ(↓)は樹形を整え、樹冠を広げつつあり、
  樹陰では藪の勢いが弱まりつつあります。

  

現況イメージ

  

カシを生かした林縁の藪の減退 前
  林縁の藪が形成されている部分の状況。これまではカシ類を含めて
  藪の伐採を行っていたため、陽光が降りそそぎ、鬱陶しい藪を存続
  させる状況をつくりだしていました。

将来イメージ

  

  カシを生かした林縁の藪の減退のイメージ。常緑広葉樹のカシ類を
  生かすことにより樹陰を形成し、陽光を好む林縁の藪の減退をめざ
  します。自然のなりゆき(遷移)に沿う省力的方法でもあります。

 

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