Skip to content

5-3. 里川の風景づくり -キショウブの管理

支川の一つであるこの小川は、かつての農業用取水堰があり、その上流側にキショウブが群落を形成しています。

キショウブは生態系被害防止外来種ですが、花が美しく、水辺にふさわしい風情を漂わせます。増殖・逸出しないよう管理しつつ生かしています。

 キショウブとは

キショウブ(アヤメの仲間)は生態系被害防止外来種であり、「利用上の留意事項:花が美しいので水辺に植えられることが多いが、海外で侵略的な外来種とされ、日本でも河川等で分布を拡大している。近縁の絶滅危惧種のカキツバタ等の遺伝的撹乱や、これらを含む水辺や草原の在来植物との競合、駆逐が危惧されている。こうした影響を及ぼすおそれのある場所には、持ち込まない」とされています。各地で駆除の取組みも見られます。

 増殖・逸出しないよう管理しつつ生かす

この近辺にカキツバタの生育地はありませんが、逸出による下流側への影響が全くないとは言い切れません。駆除という選択肢も出てきますが、キショウブの地下茎は極めて丈夫で、人力による除去作業は困難に近いものがあります。

しかも確かに花が美しいのです。鮮やかな黄花(花期は5~6月)で、葉はしなやか、いかにも水辺にふさわしい風情を漂わせます。コンクリート護岸の印象を和らげるのにも貢献しており、花を楽しみにしている住民もいることから、増殖・逸出しないよう管理しつつ生かしています。

 [ 実 践 ]

▶ 花の終わった花茎を順次切除し、種子繁殖の防止に努めています。

▶ 花期が終了した時点で葉を含めた一掃の刈り取りを行い、生長の抑制に努めています。

▶ かつての農業用取水堰による湛水面にキショウブが取り巻き、風情のある水辺が創出されつつあります。ただしキショウブは湛水面の中にも侵入・増殖し、土砂堆積を助長することから、スコップを使って適宜掘り出しを行っています。キショウブの地下茎は極めて丈夫で、これは大変な作業です。

  支川を埋めるキショウブ群落。地域住民による草刈り作業が毎年花
  期直前に行われていたため、この花の存在を知らない住民の方もい
  らっしゃいました。花を咲かせてからは観賞の姿が見られます。
  花の終わったものから花茎を順次切除し、全て咲き終わると一掃の
    刈り取りを行っています。ただし、風情まで一掃しないよう数株は
  刈らずに残しています。
  刈り取った茎・葉は河岸に上げたり護岸に立て掛けたりして、河水
  の水質保全に努めています。  

  

 花・生態系・川へ関心を寄せる端緒となることを期待

長所・短所がともに大きく悩ましい存在ですが、花や生態系や川へ関心を寄せる端緒となってくれれば、それが一番の存在価値になると思います。キショウブには申し訳ない言い方ですが・・・。

Widgets

Scroll to top