
里山は里を抱き、その暮らしを包んでいます。落葉広葉樹林を主体として常緑広葉樹林、植林、竹林などがパッチワーク状の風景を構成し、四季を彩ります。
燃料等としてのかつての経済価値を失った里山林は、管理の手が入ることも少なく、また管理の手不足・高齢化も相まって、風景にも課題として表れつつあります。
風景から見た里山の課題
●管理粗放となった放置竹林は、鬱陶しい藪(やぶ)状態となり、落葉広葉樹林を駆逐しながら陣地を拡大しつつあります。竹は根系が浅く斜面安定性を低下させることなどから、放置竹林は里山荒廃の象徴とされます。
●山麓の林縁(りんえん、林の周縁部)はツル植物や低木類が藪を形成しているところが多く、里地の外縁にあたる部分でもあり、鬱陶しさが目立ちます。
●里山を象徴する落葉広葉樹林(里山林、雑木林)は、薪炭等に供するための定期的な伐採により維持されてきた植生です。今後も人手が入ることがなければ、自然のなりゆきとして、郷土(関東地方内陸部)の落葉広葉樹林とその四季は、常緑の広葉樹林へと遷移していくことになります。
里山の風景づくり
里山の風景づくりは、集落からよく眺望される里山において、放置竹林や林縁部に手を入れ鬱陶しさの解消を図るとともに、さらには花木や紅葉木の植樹により観賞の対象となることをめざしています。
その一部は、侵入しつつある常緑広葉樹の伐採も行い、落葉広葉樹林とその四季を維持することをめざしています。