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6. 里山の風景づくり -持続可能性へのアプローチ

里山は里を抱き、その暮らしを包んでいます。落葉広葉樹林を主体として常緑広葉樹林、植林、竹林などがパッチワーク状の風景を構成し、四季を彩ります。

コナラ・クヌギなどからなる落葉広葉樹林は、薪炭等に供するための20年前後の間隔での伐採により維持されてきたものであり、その四季は人為のものであり遺産です。

今、落葉広葉樹林は材としての経済価値をほとんど消失し、里山の多くは里から眺めるだけの存在になりつつあります。

伐採利用されることもなく成熟状態に入った落葉広葉樹林は、徐々にCO2(二酸化炭素)吸収能力を低下させていきます。

さらに今後人手が入ることがなければ、自然のなりゆきとして、落葉広葉樹林はカシ類からなる常緑広葉樹林へと遷移していくことになります(関東地方内陸部)。

放置竹林も落葉広葉樹林をむしばんでいく脅威の一つですが、それだけでなく、竹林は根系が浅いために地すべり抑止力を低下させることなどから、その放置拡大は里山荒廃の象徴とされます。

新たな経済価値を有する里山林の活用方法の開発が期待され、そのための様々な研究・試行も聞こえてきますが、今は途上です。

その時が来るまで、人手の入ることのない落葉広葉樹林はその四季とともに徐々に消滅していく運命にあります。

風景づくりの取り組みは、里からよく眺望される里山を優先対象として、迫りくる常緑広葉樹林や放置竹林に手を入れ、四季の移ろい豊かな落葉広葉樹林を維持することが主体です。

作業を通じて山内に入り込むと、そこは明るい林内空間、林床には野草や低木も息づき、花や紅葉にも出会えます。

山上から俯瞰する里はまさに箱庭のようで、日常から離れ、郷土を見つめ直す機会を与えてくれます。国見山ならぬ “里見山” です。

作業に際しては伐採した木竹が大量に発生し、その有効活用に迫られますが、活用方法の模索・試行もまたこちらを活性化してくれます。

こうした刺激体験を伴う風景づくりが、新たなかたちでの “人と里山との相互活性化” と言えるまでに拡大していくことを期待しつつの取り組みです。

  

  

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